照明ネットワーク

照明のネットワークに関する記事を書きます。照明の通信を行うのに使えるツールなども作成していく予定です。

RDMnet LLRPとは?【第一回】


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Artistic Licence社のCEO Wayne HowellがLinked inのページで公開している記事で、
「LLRPは流れを変える(ゲームチェンジャー)潜在的な能力を持っている。お気に入りのメーカーに"LLRPをサポートしていますか?"と聞いてください。もしサポートしていないなら、なぜしていないのか聞いてください。」と述べています。それほど注目している技術、ということです。
参照先:https://artisticlicence.com/WebSiteMaster/Publicity/HelpDesk17-Low-level-recovery-Oct2018.pdf
※Artistic Licence社 = Art-Netの規格を作成した会社

LLRPについて書いていきたいと思いますが、量が少し多いので分割して書いていきます。
今回は、その概要の第一回です。

結論

  1. RDMnetとはイーサネットRDM通信要求など行うもの
  2. LLRPはRDMnetの中の機能の一つ
  3. LLRPはマルチキャスト通信である = ネットワーク部が異なっても通信可能

参照先:ANSI E1.33 - 2019 Entertainment Technology -- (RDMnet) -- Message Transport and Device Management of ANSI E1.20 (RDM) compatible and similar devices over IP Networks
https://tsp.esta.org/tsp/documents/published_docs.php

目的

RDMnetの機能の一部であるLLRPは「マルチキャストRDM通信要求を行うもの」です。ネットワークの設定がうまくいっていない場合でも通信出来ることを目的としています。

RDMnetとは

RDMnetとはRDM通信要求をイーサネット上で行うプロトコルです。RDM自体はRS485の半二重通信であり、RDMnetはRDMに対応したノード(Ether/DMX変換器)に「RDM検索を行ってください」「RDM器具リストを送信してください」など指示を送るものです。そのため「RDM通信要求をイーサネット上で行うプロトコル」という表現をしています。
RDMnetはユニキャスト通信(1対1通信)※で行われており、ネットワークが異なる(=サブネットマスクIPアドレスの組み合わせで決まる)と通信ができません。
show-network-lab.hateblo.jp

LLRPはRDMnetの中の機能の一つ

LLRPとはLow Level Recovery Protocolの略称で、RDMパラメータの中の一部の送信を行うことが出来る機能です。

LLRPはマルチキャスト通信である

ここがWayne Howellが注目している部分になります。今までRDM情報の設定などを行うにはネットワーク部が一致していなければ行うことができませんでした。しかし、LLRPはマルチキャストであるのでネットワーク部が一致していなくても通信を行うことができます。さらに、LLRPはRDMnetのスイート(部品)とされていますが、sACNやArt-Net、 RDMnetやオーディオプロトコルのDanteの一部のツールとしても使用することが可能です。この言及から、Art-Netの機能の一部であるArtRDMもLLRPに対応していくあるいは、何か他のアプローチをしてくる可能性があります。

まとめ

LLRPというプロトコルについて概要を説明しました。
今までイーサネットRDMはユニキャスト通信かArtRDMのユニキャスト/ブロードキャストでしか行うことができず、ネットワーク部の正常な設定が必須でした。しかしLLRPによるイーサネットRDMマルチキャスト通信の実現により、ネットワークの意識をせずに通信が問題なく行うことができるようになる、ということをWayne Howellは伝えたかったのだと思います。ただし、この場合だとユーザーはArt-NetではなくsACNを使用していく気がします。(sACNはマルチキャストであり、LLRPでのイーサRDM通信もマルチキャストであるため)。そこについてはWayne Howellがどのように考えているのかについても同時に考えていきます。第二回ではLLRPについてのより詳しい内容について記述し、それほど革新的な物なのかについて言及していきます。(マルチキャストでイーサRDMが行える以外の魅力については分からなかったため)
RDMnetについて知りたい方はRDMnetの規格が下記URLより会員登録などすると読めるようになります。 https://tsp.esta.org/tsp/documents/published_docs.php
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