DMX512ケーブルを使って器具の設定などを変更することができるRDM。
RDMとは(Remote Device Management)遠隔機器管理の略称です。
RDMでできること
RDMで行えるのは大きく以下の三点です。
- 照明器具の検索
- 照明器具の情報(点灯時間・温度など)の取得
- DMXアドレスや器具のモードの設定
照明器具の検索
RDMはDMXケーブルを使用して行います。どのノードの先につながっているか、あるいはどのユニバースで通信されているかを知ることができます。ロイヤリティフリーのイーサネットプロトコルの中でRDM機能を有しているのは
- Art-Net
- RDMnet
などがあります。DMX/RDM双方が可能なロイヤリティーフリープロトコルであるArt-Net。これもArt-Netが広く使用される理由の一つです。メーカーオリジナルプロトコルの中ではArt-NetのようにDMXもRDMも可能なプロトコルは存在します。例えば、MA lighting社のMA-Netです。オリジナルプロトコルには他にも
- Pathport
- ShowNet
- ETCNet
- KiNet
がありますが、これらのRDM機能については確認していません。
照明器具の情報(点灯時間・温度など)の取得
器具が熱くなりすぎていないか、長時間点灯状態が続いていないか、寿命を迎えていないかをチェック可能です。ただし、異常だった場合に通知する機能などは有していないので、情報取得のキッカケは調光卓やPCから与える必要があります。
DMXアドレスや器具のモードの設定
器具は簡単には触れることができない位置にあるため、アドレスや器具モードの設定を間違えるとそれを修正するのに大変な労力を要します。それを解決できるようになったことがRDMの大きな魅力の一つです。
DMXとRDMの判別方法
下記記事にてDMX規格について述べましたが、
show-network-lab.hateblo.jp
RDM通信を行うとき、「Start Code」を見ることによりRDMと認識します。DMXケーブルを変更することなくこのような機能が実装できたので参入障壁も低く、2006年にRDM規格が策定されて以降、様々な器具で実装されるようになりました。
注意事項
以上の説明のように便利なRDMですが、注意事項もいくつかあります。
※注意事項下記サイト参照ください:
http://1.33.181.209/app-def/S-102/wp/wp-content/uploads/2018/06/5a876919902294377af0676b8c3de86a.pdfより。
課題
イーサネットプロトコルが普及したことにより、複数のチャネルを持ち、様々な機能を実現する機器が増加してきました。これにより、RDMで設定可能なパラメータが増加し高機能になる一方、複雑化しているという問題があります。また、大量のパラメータに調光卓や管理ソフトは対応していかなければなりません。
今後の動向
GDTF
RDMとしてどのような動きがあるかどうかというより、次世代フォーマットを作る動きがあります。
www.vectorworks.net
- ROBE
- MA lighting
- VectorWorks
このフォーマットが実現すれば、ローカルで図面作成を行い、器具のモード設定まで実現可能となるかもしれません。
現時点の情報では、RDM設定まで行うかどうかは不明ですが、このフォーマットに器具情報を提供する企業が集まることが予想されるので、
器具を設置して、調光卓で「RDMによる一括設定」のようなボタンを押せば準備完了となり、作業工数が削減できるようになるかもしれません。
RDMができて既に10年以上経過しています。新しいフォーマットに対応していない調光卓などは、大きな会場などでは特に不便に感じられていくと思います。設備の規模が大きく、製品の単価が高い市場なので、凄まじい勢いで変化していくことはないと思いますが、現時点でこれに対応しようとしていない企業は大規模会場から消えていくかもしれません。
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