現在、ネットワーク化が進む演出照明の世界。そのネットワークにおけるプロトコルの一つである「Art-Net」は、DMX over a networkプロトコルの中でもデファクトスタンダードとなっています。
Art-Netとは
Art-Netは、EthernetネットワークにおけるUDP/IPを使用し、DMXやRDMの信号を伝送する規格です。Artistic Licence社により提供されており、以下二つの条件を満たせば著作権使用料無料です。
- Art-Netの規格を使用する製品のユーザーガイドに"Art-Net™ Designed by and Copyright Artistic Licence Holdings Ltd"のクレジットを入れる
- Art-Netの規格を使用する製品は、Artistic LicenceからのOEMコードを取得している
これら二点を満たせば利用できるということがArt-Netがデファクトスタンダードとなった大きな要因と言われています。
Art-Netの歴史
Art-Netは1998年に「Art-Net I」としてリリースされてから2018年までにArt-Net4までバージョンが変わってきました。その詳細について述べていきます。
Art-Net I
目的:シンプルな構成の規格作成
Art-Netの最初のバージョンであるArt-Net I は、1998年にリリースされました。Art-Net I はDMX信号をブロードキャストにより伝送しています。ブロードキャストを採用した理由は以下の二点です。
※最大ユニバース数:40
しかし、RGBなどLED器具が多数出現していく中で制御すべきチャネル数が増加していきました。そうなると必要なユニバース数が増加していきます。ユニバース数が増加していくと、それだけ受信側の負担は大きくなります。これが次第に問題になってきました。
Art-Net II
目的:ユニキャストの導入
Art-Net IIは2006年にリリースされました。このバージョンの目的としてはArt-Net Iでの問題となっていた部分であるブロードキャストの部分の改善です。ブロードキャストで送信することも可能ですが、ユニキャストで送信することも可能となりました。
これにより、受信側の負担は大幅に軽減されました。
※制限ユニバース数:256
まとめ
Art-Netは導入の簡便さ(・ブロードキャスト・著作権使用料フリー)から徐々にデファクトスタンダードとなってきました。現在は、その簡便さを残しつつ、RDMツールとして使用可能となり、ライブ制御ツールだけでなく器具制御ツールとしても利用できるようになり、その用途は広がっています。世界で220の会社に採用されている(Artistic Licence社 HPより)プロトコルはどうなっていくのか。注目のプロトコルの一つです。
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