現在、ネットワーク化が進む演出照明の世界。
そのネットワークにおけるプロトコルの一つである「ACN」。DMX over Ethernetとして使用する際は、「sACN」というものを使用していると思います。sACNは、ACNの一部です。
ACNとは?
ACNは、Architecture for Control Networks の略称です。
※日本語訳:制御ネットワークの構造
策定までの経緯
ESTA(Entertainment Services and Technology Association)で1997年にACN策定の作業を開始。2006年に標準規格が公開されました。この策定期間(1997〜2006:9年間)は非常に長く(2006年は、Art-Net IIがリリースされている)、その主要因は、策定のタスクグループが様々な規格を提案し、それらの整合が取れなかったことだと言われています。ただし、照明に限らず可能な限り幅広く適用できるように賢明に努められてきました。タスクグループは、通信の信頼性・マルチキャストの両方を提供することを可能にすべく試行錯誤していました。
ACNのコンセプト
ACNはネットワークベースのend to endで繋がる規格です。ACNはプラグアンドプレイといって接続された器具を自動的に検出してユーザに提示して設定することができます。(RDMのような機能)
ACNのコンセプトは、「より高機能で信頼性の高い通信規格」で、次世代DMXと想定し作られていました。イーサネットで完結させ、高機能化を目指して作られました。したがって、DMX信号を送信する機能は有していませんでした。
このようにACNの開発は大変な努力と技術的成功をもたらしましたが、非常に残念なことにACNが広く使用されることはありません。しかし、器具までイーサネット化した時、ネットワーク制御アプリケーションで利用できる洗練された規格として注目を浴びることになるかもしれません。
sACN
もともとACNの規格の中ではDMX信号を送る機能はありませんでした。
しかし、ACNが誕生した後も市場に浸透することがなかったため、DMXデータを伝送するように特別に軽量ストリーミングプロトコル「sACN」が誕生し、この「sACN」は市場で広く成功しました。
標準としては、2009年に開発され、2016年に改定されています。sACNのコントローラとレシーバは、IPネットワーク上で最大63,000のユニバースのDMXスロットを送信することが可能です。
送信仕様
sACNは送信信号データが変更されていない場合、800ms~1000msに1回データを送るようになります。送信方式は「マルチキャスト通信」になっています。
まとめ
統一規格を作ることは
- ノード製作者
- 卓製作者
- 器具製作者
に非常に大きなメリットをもたらします。対応すべき規格が少ない方がソフト開発工程が削減されるためです。
作り手の論理なので利用する人は考える必要はないかもしれません。
しかし、卓が使用している規格とノードが対応している規格が異なっている場合はどちらかを変更せざるを得ません。
そういう意味では実際に使用される方にも、規格の統一化はメリットのあることだと思います。
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